シュレディンガーのアイドル

ミンチャンさんが身体的および心理的な不調のため休養に入り、以降のスケジュールを欠席することが発表されてからそろそろ一週間が経とうとしています。

スケジュールの終わりに投稿される集合写真には6人しか写ってなくて、VLIVEが始まっても映っているのは6人だけで、ヨントンペンサがある日に発表される通話順序にミンチャンさんの名前はなくて。

一週間で慣れるものではなかったです。正直な話をするとずっと寂しい。

まだ元気な時に撮られたのであろう7人揃ったコンテンツを見るたびにちょっと心が痛むし、ミンチャンさんの不在を突きつけられて悲しいのでしっかりと音楽番組やVLIVEを追うのもちょっとやめている。本当はミンチャンさんの不在をカバーして頑張っている6人のことをちゃんと肯定したいんですけど、やっぱり難しいです。

もちろん、事務所もメンバーもミンチャンさん自身も考えつく限りの最善を選んだと思います。その選択肢を取ることができてよかった。今はもうただ、ゆっくり休んでほしいと思うばかりであります。

 

以下、個人の見解です。

 

この手の話をするときに、大きな主語や強すぎる修飾語を使ってしまうのって違うと思うんです。たとえば「私たち」だとか「全員」だとか「事務所」だとか、「絶対」とか「全部」とか。あまりに扱う内容が繊細なのに、つい語調は荒くなってしまいがちなトピックだなって思います。アイドルに限らず、一般論として。

いろいろな人たちのことを見てて思いますが、やっぱり誰が悪いとかそういう話ではないと思うんです。誰を責めるのも違うと思うなあと、公示が出たあたりにぼんやりと思っていました。

心理的な不安症状に科学的な特効薬はありません。医療機関で処方される薬は一時的に症状を緩和して快方に向かうのを補助するためのものであり、症状そのものを治療するためのものではありません。不安症状って、結局は本人がどう物事を捉えそれに対してどう処理するかの過程で、必然的に出てしまう負荷なんだと私は思います。人それぞれ負荷のかかり方も度合いも違うしそれをどうやって処理するべきかもそもそも処理できるものなのかどうかも、人それぞれ。

アイドルっていろんなことに気を遣う職業だし、想像も追いつかないくらいの不特定多数の目にさらされる職業でもあって、結局はただの消費者である私にはその大変さを、成り代わって理解することはできない。というか理解したくないかもしれない。そんな大変な思いをしながら舞台上で輝いてる彼らの姿を、ファンとして消費してしまっているのは紛れも無い事実なので。

だから誰が悪いとかそういう話じゃない。誰を責めても空振りに終わると思います。どんな事情が背景にあったとしても、アーティストの健康と安静を最優先に考えたという公示の言葉が事実として全てである以上、それを見た側としてはその言葉を受け止めるしかできることがないのかな、って。

思えば画面に映る彼らについてわかることってごくわずかなんだと思います。その人個人を理解するには全然足りない。コンテンツなどを通して見ることのできる彼らの姿から視聴者がわかる本当のことってどれくらいあるんでしょう。アイドルってどこまでが現実でファンタジーなのか、画面の向こうから見てるだけの人たちにはその境界線がはっきりと見えない。

確かにチッケムなどでミンチャンさんの体調が芳しくなさそうな様子がちらほらと見受けられてはいたし、遡れば4集の活動の時から踊りきった後ちょっとしんどそうにしている映像もあったりしたので、一度ミンチャンさんが5集活動中に体調不良を訴えてペンサを急遽欠席した日よりも前から、彼の健康状態はおそらく完全に元気とは自信を持って言いきれなかったのかもしれません。

でもこれは憶測です。いつから彼が健康状態に不調を抱えていたのかはわからないし、ましてや心理的な不安症状に関してはいつから始まっていたのか、こちらにはわかりません。その「いつ」を知ろうとするのは不毛な話だと思います。

「いつから」を知ろうとするのが不毛な話なら、個人が望むものを推し量ろうとするのはもっと不毛なんじゃないでしょうか。

いろいろ考えたんですけど全部オタクのエゴだな!と思ってしまって考えるのをやめました。戻ってきてほしいって言うのも待ってるねって言うのも全部全部エゴだな、って。何がきっかけで彼が不安を覚えるようになってしまったかを正確に知らない以上、何を取り除くべきなのかもわからないじゃないですか。もしかしたら踊ることに限界を感じてしまったのかもしれないし、もしかしたら歌うことが難しくなってしまったのかもしれない。動画の編集に対する負担が厳しくなってしまったのかもしれない。「事務所がやらせた」ことへのプレッシャーが重くなってしまったのかもしれないし、「自分が選び取った」ことで収集がつかなくなってしまったのかもしれない。あるいはスケジュールが?対人関係が?思いつく可能性は尽きませんし、全部不正解かもしれない。全部正解かもしれない。私にはわからない。本当のことを知っている人ってどれくらいいるんでしょう。いないかもしれませんね。もしかしたら彼自身にも何が原因で何が対処法なのかちゃんとわかってないかもしれない。

だからこそ、戻ってきてほしいという願いも、待ってるねという祈りも、もしかしたら重荷になっちゃうんじゃないかなって気づいてしまってから何も言えなくなりました。もう私は彼についてなんて言えばいいのかわからない。もしかしたら最善はあっても正解なんてないのかもしれない。結局私なりに考えた最善は何も言わないことという結論になってしまったのでこの記事を書いてる時点で大きな矛盾を起こしているのですが!

 

すべての人が穏やかに優しく生きていける世界であればいいなと思います。これだけたくさんの人間がいれば難しいことではありますが、う〜〜〜〜ん。

うん。

実家に戻って休養中というミンチャンさんが帰ってきた時に、きちんと変わらない居場所があればそれでいいな、と思います。