風に乗って届き続ける歓声を

A.B.C-Z 2021 But FanKey Tour10/20夜公演、本ツアーの千秋楽となる公演に参戦しました。

コンサートレポを書けるほどきちんとした記憶はなくて、ただただ溺れそうな感情が渦巻いてしまってどうにもならないので、こうしてキーボードを叩いている。何から書こうかな、と考えながら書いているのだけど、覚書なので許してほしい。

 

A.B.C-Z LOVEという曲がある。ジャニーズには割とよくある(と思う)いわゆるメンバー紹介曲で、彼らはほぼ必ずこの曲をセトリに組む。今回も例外に漏れずその曲を聴いてきたのだけど、他の人たちの歌詞はほとんど変わることはないのに、末っ子の橋本くんを紹介する歌詞だけは毎年一部だけが変わっていく。というのも橋本くんの年齢を歌っているからであり、年を重ねていくごとに歌われる年齢も上がっていくというだけなんだけど。

初めて彼らを知った時、橋本くんは「美声で歌う21(トゥエンティーワン)」と歌われていた。

今日聞いた時、その部分は「美声で歌う28(トゥエンティーエイト)」になっていた。

別になんてことはない、人は当たり前に年をとるのでそこが変わっていくのも当然なんだけど、いつの間に28に…と感慨深くなってしまった。7年。私、7年も彼らのこと好きなんだね。そうかそうか。……そうかあ。みたいな。

 

7年。それだけあれば最初小学1年生だった子は中学1年生になる。当時学生だった私は社会人になった。その間、A.B.C-Zというグループはいろいろなところが変わったと思う。

 

A.B.C-Zは2018年に結成10周年を迎えた。当時四人組だったA.B.Cというジュニアチームにセンターとして橋本くんを迎え入れて、A.B.C-Zと名前を変えて今に至る。アクロバットボーイズクラブという名前を冠している通り、彼らはアクロバティックなパフォーマンスを披露するために作られたグループだったし、そのために持ち曲は激しめのダンスナンバーばかりだった。

「橋本がうちに来てから初めてバラードをもらえるようになった」と誰か*1が言っていた。

私の記憶が正しければ、そう言った彼は今日、今までは橋本くんに任されていた落ちサビのフェイクをとても気持ちよさそうに歌い上げていた。

 

A.B.C-Zのバラードが増えた。今日のコンサートで思ったこと。

何よりも歌唱力の底値が高くなった気がする。歌声が不安定だなと感じていたメンバーも、元々歌のパートが少なかったメンバーも、元々歌のうまかったメンバーも、みんなみんな歌が上手くなっていた。できる歌い方が増えていた。段違いに。A.B.C-Zのコンサートはパフォーマンスを見にいく場所だと思っていたのだけど、今回に関しては歌声を聴かせるセトリが組まれていたように思えた。だって聞き惚れちゃったもん。彼らのコンサートに赴いて、スピーカーの爆音が心臓を叩くよりも、耳から入って体に染み込む歌声で胸がいっぱいになったのは、今回が初めてかもしれない。

 

それから、衣装が変わった。

A.B.C-Zはメンバーそれぞれにメンバーカラーが割り当てられている。彼らはどちらかといえばそれぞれの色を全面に押し出す側のチームなので、衣装はメンバーカラーに則したものが多かった。みんなそれぞれの色がよく似合うのでそれはそれでとても好きだったのだけれど、一方で何処か記号みたいだな、とも思っていた。別に悪いことじゃないと思う。覚えられやすいというメリットがあるので。この人が好きなんです、と紹介した時に、「あああの赤い子ね!」とか、「黄色の人だ!」とか、色と名前を結びつけて覚えてもらえるというのはとても大きなメリットである。知名度の低いチームにとっては。

でもだんだん、衣装の色がメンバーカラーにとらわれなくなってきた。ただのモノクロだったり、メンバーカラーとは関係のないごちゃごちゃのカジュアルスタイルだったり、赤一色だったり。メンバーカラーにとらわれなくなったのって、ひとえに記号化からの脱出なんじゃないかって、ちょっと思うのだ。衣装を考えるときに「メンバーカラーじゃなくてもいいという選択肢」が選べるようになったのは、「その色を着てなくてもいい」という余裕の現れでもあるのかな、って。だんだん個人での仕事も増えてきて、チームの名前も知られるようになってきて、A.B.C-Zの○○です!って言えばわかる人が増えてきた。色でラベル分けしてわかりやすくする必要がなくなったのかな、と思うし、もしそうなんだとしたら、ハマった当初に知らないと言われすぎていまだに好きであることを人に伝えるときに「A.B.C-Zというグループが好きなんですけど、知ってます…?」と確認をとってしまう私は、あまりにも感慨が深い変化だと思う。

 

それから、コンサートでやることも変わった。

バラードが増えたことにつながるかもしれない。でもそもそも、本当に、セトリや舞台の構成そのものから変わっていた。

この転機は比較的はっきりしている(と私は思う)。結成10周年の時のコンサートだ。それまでアリーナでの公演をしていたのが、その年からホールでのコンサートに切り替わった。体を使ったアクロバティックなパフォーマンスをするための大掛かりな仕掛け*2を取り入れるのをやめた。「自分達は先輩方のコンサートで時間をもらったからその恩返し」として自分達のコンサートにジュニアたちをつけていたのを、5人だけで展開するパフォーマンスに変えた。

新しいことに挑戦し続けて出来ることを増やしていくそれまでのスタンスも大好きだったんだけど、そもそもできることの種類を増やしていくことにシフトしたのって結構大きな選択かもしれない、と思う。7年の歳月って短い訳じゃない。いつまでも同じことができる訳じゃない。でもパフォーマンスにこだわってきた彼らが今までのパフォーマンスとは違うことをするのって結構重大な分かれ道だったりするんじゃなかろうか、ともすればアイデンティティにしていたものを変質させるということであるし。勝手な推測ではあるんだけど、そう考えてしまう。

私はその変化を英断だと思う。今までとは違うことをするのって、だいぶ勇気がいることだから。

 

いろんなところが変わったな、と思ったけど、そんな彼らにも変わらないところがあった。

 

A.B.C-Zのペンライト*3は他のジャニーズチームと違うところがある。

一般的なペンライトは基本的に点灯・点滅・数種類のカラバリといったパターンが用意されていて、そのパターンはペンライトの種類ごとに変わる。でもA.B.C-Zのペンライトは、形は変わってもパターンはほぼ変わらない。赤、青、黄、桃、紫、とメンバーカラーが順に点灯して、白、メンバーカラー点滅、振り出しに戻る。多少レパートリーのブレがあれど、A.B.C-Zのメンバーカラーが順に点滅していく仕様は彼らが初めてコンサートツアーをした2013年から今まで絶対に変わらない。きっとこれからも変えるつもりがないんだと思う。

A.B.C-Zのコンサートで好きなところの一つは、そんなペンラを使って彼らと観客がコミュニケーションを取るところにある。

メンバーがソロでパフォーマンスをする時、会場はそのメンバーの色で染まる。メンバーが一人ずつコメントする時も、会場は都度そのメンバーの色に切り替わっていく。会場のペンライトを無線で制御する技術が存在する中、A.B.C-Zのペンライト操作は全て観客の手動である。それだけじゃない。メンバーが音頭を取りながらみんなで一斉に曲に合わせてペンラの色を変えていくコーナーが必ず設けられているし、一旦みんなで消したペンライトの明かりをメンバーの掛け声で順につけていくという演出を選ぶときもある。

「上手くできなくても大丈夫!」「時間かかってもいいですからね〜〜」という優しい言葉付きで。

ちなみにこの公演があった日はメンバーの河合くんの誕生日で、せっかくだから会場を彼のメンバーカラーに染めてから、ロウソクを吹き消す要領で順番に消していこうという提案があった。河合くんがふーーっと息を吹きかけて、順番にペンライトの明かりが消えていって会場は真っ暗に……となるかと思いきや、一番後ろの方の明かりはいつまで経っても消えない。河合くんがどれだけ息を吹いても消えない。全然届いてないからだよ!ってメンバーが茶化しながらやっと消えて、河合くんがなんで消してくれないの!ってぷんすこしていた。いじってくれて嬉しいですけどね、って呟いてたけど。

そんな感じで、ファンとの相互コミュニケーションをとてもとても大事にしてくれている。私が入った公演では出番がなかったけど、今回のペンライトにはいつものメンバーカラーと点灯パターンの他にオレンジと緑が追加されていた。なんぞやと思えば、「Aだと思う人はオレンジに、Bだと思う人は緑にしてください!」という風に、MCで彼らが観客に聞きたいことがあったときに使うためのものだったようだ。確かに彼らのMCは観客によくいろんなことを話しかけている。このご時世、声を出すことが叶わないのを鑑みながらもなおコミュニケーションを取ろうとしてくれる姿勢はずっと変わらない。それがすごく嬉しかった。変わらないでいて欲しいところだと思っている。もはやこれは、祈りに近いかもしれない。

 

A.B.C-Zは、ファンを大事にするチームだ。

今回のツアータイトルを決めた戸塚くんはこんなようなことを語っていた。

「僕たちのスタートは華々しかった訳でもないし道のりも華々しくはなかったけど、それでもここまで来れたのはファンのおかげだ」と。「華々しくなかったかもしれない、But(しかし)FanがKeyなんだよ」と。

その前に出していたシングル「Nothin‘ but Funky」とかけて、そんな思いを込めたタイトルを採用する彼らのセンスが好きだった。車で各地を回っていくように全国を回るツアーであることから、車での出発準備を題材にしたOP映像が作られていたのだけど、ファンがA.B.C-Zを呼ぶ声が聞こえてくる箱を開けると車の鍵が入っていて、呼び声の発生源はそれで、その鍵でエンジンを入れてA.B.C-Zがツアーに出発する…というもので、それを見ただけで泣いてしまいそうになったのだ。開始3分も経ってないのに。本当にどこまでもファンを大事にするグループであることはずっと変わらない。

どの公演を準備するにあたっても、彼らの念頭にあるのは「ファンを楽しませること」である。公演に臨んで心の底から思った。彼らはファンを楽しませるためにステージに立っているし、ファンを楽しませるためにステージに立つことを何よりも楽しんでいる。お互いのセンスと技術と経験を信頼しながら、それを形にしていくことを恐れない。変わったことをいくつか挙げたけど、その根底にあるのは「ファンに楽しんでもらうために」という、絶対に揺るがない意志だと思う。

確かに、A.B.C-Zの曲は今もアップテンポな曲や明るい曲が多い。でもそれは、踊るためにというよりは、彼らの意志を叫ぶためなんじゃないかって思うのだ。5人の声を重ね合わせて、疑うな叩き上げろと叫んだり、君が好きなんだと愛を歌われたり、熱いほど燃え盛る灯になると誓われたり、明日へ向かおうと手を引かれたり。その度に泣きそうになる。全部全部、観客のためだ。舞台を降りようと思ったことが何回もあった話を聞かされている身としては、観客のためにステージに立つことを楽しんでいる彼らを見ると感謝の気持ちで胸がいっぱいになる。

 

A.B.C-Zって、めちゃくちゃ困難を乗り越えてきたチームだ。

自分達のスタンスを変えていくことができるのは、いかなる局面においても彼らがずっと前に進むことを選んできたからだ。その根底にあるのはファンを思う気持ちであって、それは常に変わらないものであって。

そして、常にそれを楽しんでいる。

 

彼らはステージの上で、スポットライトの中で、何を思うのだろう。

青い光の中に踏み出す一歩をそのままダンスステップに変えて歩くように踊り出す彼は。

会場を自分の声でいっぱいにするように、気持ちよさそうに歌い上げる彼は。

声と一緒に音を紡ぐギターを握りしめながら、軽やかに踊る彼は。

自分を跳ね上げるために重ねられた腕を見据えて飛び上がるために足をかける彼は。

最後の最後に、全身全霊を込めた声で、俺たちとみんなでA.B.C-Zと叫ぶ彼は。

 

誕生日なのになんでメール送ってくれないの?と拗ねる河合くんに橋本くんが「来年考えとくよ」って言った。これからもいろんなことして思い出作っていきましょうね、と呟いた。彼らがその口で「これから」を仄めかしてくれることって、「続ける意志」を見せてくれることって、どれだけ救いか。永遠なんてないんだなって、さまざまな折で思わされてきた中で、続けるという選択肢を本人たちが提示してくれることは、その事実だけでもう、十分な光量のある光だ。

ステージに立ち続けてくれてありがとう。

変わらないもののために姿を変えて、風に運ばれるように、ずっとずっと前に進むことを選ぶあなたたちが大好きです。

 

帰り道に空を見上げたら、澄んだ空にぽつんと満月が浮かんでいてまた泣きそうになってしまった。

月が綺麗ですね、今夜空を見上げたら君がいました。嘘じゃなかった。本当に楽しい時間だった。

 

 


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君が好きなんだ!

 

*1:自信ないんだけど多分河合くんかな…

*2:あだ名が物干しハンガーだったり観覧車だったり回し車だったり吊りトランプだったりするやつ

*3:ジャニーズのペンライトはコンサートごとに違うものが作られる。KPOPに足を踏み入れた時に応援棒は基本的に変わらないと聞いてカルチャーショックを受けた