地獄を歩く話が美談になるとき

私はサバイバル番組がとんと苦手である。

できる限りサバイバルと謳われている番組は避けてここまできた。理由は自分の共感性の高さをめちゃめちゃに理解してしまっているからだ。ただでさえ日頃共感疲労とかそういうやつで苦労している方なのでサバイバルなんか見たら耐えきれないな、とわかっている。特にデビューを目標としたサバイバルは、一度推しを作ってしまったら絶対に情緒をぶん回されることがわかっているのでとてもリアタイなんてできない。

 

そんな私が、先日World Klassを完走した。

特に推しが出ている訳でもないのにRoad to Kingdomをリアタイで追っていた私は放送期間中Golden childにハマり、放送終了間際にVERIVERYにはまり、その流れでTOOにも興味を持ったのがきっかけである。

本当は出来れば見たくなかった。怖かったので。

World Klassをリアタイで追っていた友人がいたのでいくつかパフォーマンスビデオだけは見てたのと、デビュー決定あたりで何があったかはなんとなく小耳に挟んでいた。その友人は今は別のグループを推しているし、私もWKを見たことで今のTOOを素直に推せなくなったら嫌だなと思っていた。が、意を決して見た。TOOを知る上で必要不可欠だと思ったから。

結果として、私が放送を通して応援したいと思った5人ほどのうち、最終的にデビューしたのは1人だけだった。本当にリアタイしなくてよかったなという感想が残った。

 

サバイバルを美談にしていいのは出演した本人だけだ。

ある人が言っていた。私もそうだと思う。心の底から。

WKにて、とあるミッションが終わったあとに「練習生20人の美しい競争と挑戦は続きます」というテロップがつけられた。たくさんのミッション不通過者を出したミッションだった。すごく嫌だなあと思ったのを覚えている。

本人たちの血と汗と涙の結晶を、ただ「美しい」という言葉で片付けられるのが嫌だったんだと思う。人間が目標に向かって頑張る姿は確かに美しい。でも、ただでさえアイドルとは険しい道のりであるのに、そこに番組としての娯楽性を求めるのはその道に人々の関心という画鋲を振りまくようなもんなんじゃないかとも思ったりする。それでも必死に走り続ける彼らの姿が、他人である編集者による「美しい」という一言で括られてしまうのは、なんだか違うような気がした。なんて形容されれば私は満足するのかわからないけど、そんな簡単なものじゃないよね、と思う。簡単にラベルを貼られて消費していいものじゃないと思っている私が心のどこかで抵抗しているのかもしれない。

 

サバイバルである以上、もっと言えば全員がデビューできる訳ではないと宣言された以上、脱落者が存在する。WKでは20人だった練習生が18人になり、最終的にデビューしたのは10人だった。私は最終的に誰がデビューしたかを知った上でWKを見ていたからある種の覚悟はしていたけれど、それでも脱落した人が出た時、選ばれなかった人たちが舞台の端に集まっていた時は胸が傷んだ。さっきも書いた通り、応援したいと思った子の大半は最終話で舞台の真ん中に行けなかった。それでも今のTOOを応援しているのは、まあ正直に言ってしまえば一推しだった子がTOOになれたというのもあるんだけれど、彼らがずっと20人だった時のことを大事にしているからだ。20人で踊った曲のことを「どうやって忘れられるんだよ」って言ったり、20人の写真を今でも宿舎の壁に貼っていたり。TOOになれなかった子達だって、各自のSNSで20人だった頃のことを思い出しては私たちに見せてくれる。本当に大事な時間と思い出なのだろうなと思う。なんというか、踏み台にした・されたという感じがしないのだ。もちろんこれはサバイバルに疎い私の主観だし同意しない人もいると思うけど、やっぱりサバイバルって順位がついて評価される以上は踏み台という印象がついてまわってしまうものだと思う。私がサバイバルを見ることのできない理由の一つがそれだ。でもWKは絶対評価で基本的に協力して取り組むミッションばかりだったことも手伝って、みんなで一緒に乗り越えようという気持ちが前面に押し出されていた。だから私はとても穏やかな気持ちで(少なくともRTKよりは穏やかな気持ちで!)完走することができた。し、TOOのことも残りの10人のことも応援しようと思った。WK視聴後にインスタのフォロー数を一気に増やした。いずれ彼らがアカウントを消して夢を成就させることができることを祈りながら。

 

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思い出の上で綺麗に咲く花だな、と思う。絶対に忘れないでほしい。ずっと綺麗な思い出であってほしい。

 

 

デビューのためのサバイバルを経て結成され、デビュー活動と並行しながらRTKに出演し、3次戦で敗退した直後にカムバックを宣言してつい先日その活動を終えたTOO。スケジュールとそこに詰め込まれた努力量を考えるだけでも気が遠くなりそうだ。私は夢を追いかけて走り続ける人みんなに幸せになってほしいと思うけれど、ことに彼らが詰め込んだ努力への報いが、彼らにとって大事な宝物として降り注いでほしいなと願ってやまない。

World Klassになろう、TOO。