推しの話をしたい①

推しの話をしたい。

 

私は好きなものについて長い文章を書くのが得意じゃない。やっぱり根っからのオタクなので好きなものを見たときの語彙がツマミ絞ったんか?ってくらいなくなってしまう。推しを布教するときだって興味を持ってくれた相手にどういうものが好きかどういうところが好きかを聞いた上でコンテンツを紹介するみたいな、処方箋みたいな布教の仕方しかできない。あと単純に人の好みって人それぞれだから自分の推しを必ず好きになってもらえるとも限らないし推しを押し付けるのもな〜〜〜などと考えてしまって推しの布教が下手くそなまま終わってしまうのが常だ。

 

でも推しの話はしたい。

 

せっかくブログという媒体を始めてしまったのでこれを機に推しの紹介をしてみようかなと思う。紹介って言ってもまだまだKPOP初心者でゆるゆるオタクの私がその人のプロフィールみたいなものを作れるわけはなくて、ただ私が好きだと思うところを連ねるだけになってしまうけれど、これを機に誰かが私の推しに興味を持ってもらえたら嬉しいな、と思う。

 

ちなみに、推しの定義って人それぞれだと思うけど、私の中では「一挙手一投足全てに好きだと言ってしまう人」だ。どこがどう好きなのかを細分化しようと思えばできるけどとりあえず好き!と言ってしまう人。というか細分化された感情が来る前に好きと言ってしまう人。なのでこの記事を書くことは私が感じている「好き」を一つ一つ解いていく作業にもなる。「好き」って言葉にすると簡潔だけど要はいわゆるクソデカ感情のことであって、完全にオタクの自分語りになってしまうのでそういうのに興味がない人はどうぞブラウザを閉じた方がいい。私は言いましたよ!

 

というわけで、前置きが長くなってしまったけれど最初の推しを紹介します。

(紹介順=知った順番)

 

1.チャンビン(Stray Kids)

どうしよう、もう何から言えばいいかわからない。(?)

当時ゆるっとBTSとEXOとMAMAMOOに浸かっていた私が、Spotifyでたまたま流れてきたMy paceを聞いてめちゃくちゃいい曲だ!となったのがきっかけでスキズを知った。その直後にMIROHというアルバムでカムバすると聞いた。なんとなくコンテンツを見ながらどれもこれも曲が好きだなあ、と思っていたところだった。

 

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完全に一本釣りされてしまった感覚だった。Stray kidsというグループにも、最初にメンバーを引き連れて階段を降りて来るラッパーたちにも。本当に雷が落ちたみたいな衝撃だった。だってあまりにもかっこいい。もともとジャニーズのオタクだった私はステージで輝くアイドルが心の底から大好きだった。まさにそれだった。ステージに自分自身を全力で叩きつけて来るアイドル。俺たちがやってきました、と自分の技量で高らかに宣言するアイドル。初手から完全にノックアウトさせにくるつもりでラップをしている華奢な彼と青い髪の彼に興味関心全て持っていかれてしまった。すぐ後に先攻の黒いスーツがチャンビン、後攻の白いスーツがハンという名前であることを知り、彼ら2人と真ん中でトロフィーを握っていたリーダー・バンチャンの3人で3RACHAというユニットをデビュー前から組んで自分たち3人の曲を手がけているだけでなくStray kids全体の曲の制作に携わっているということを知った。Soundcloudにアカウントを持ち楽曲の投稿をしていることも知った。

いや、全部かっこいい。

それから取り憑かれたように今までのコンテンツを全部見た。本当に全部見た。みんな魅力的だったけど私の心からはあのラッパーたちが焼き付いて離れなかった。最後までチャンビンとハンのどちらを推しにするか決めかねていた覚えがある。

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そうしてコンテンツを探していくうちに襲ってきた第二の衝撃がこれである。すごくない?高校生でこんなに堂々とラップを披露して相手を煽れることある?パフォーマーとしての器がデビュー前から十分育っていてめちゃくちゃ感心した。本当にすごい。そんな感じで、この二人を中心にコンテンツを追いながらMIROHカムバを迎えた。

どちらが推しになったか、決め手になったのはなんだったか思い出せないけど、たぶん総合的な面でチャンビンが推しになった。当時のツイートをさっくりと見返してもいつのまにかソチャンビンは最高の男と言い始めているので本当に雷が落ちたような決め手はなかったように思える。

彼はものすごい努力家だ。暗いトーンのラップを披露するためにわざと無理して低い声でラップをし続けて喉を傷めたり、一つのラップを書くためにたくさんの単語を調べて長い時間をかけたりする。いつだって鋭敏に思われがちなのが嫌で明るく振る舞うようにしている。自分の悩みをメンバーの誰かに話すことはしないけれど、弟たちの話はよく聞く。自分のことを話す時、曲のことを話す時、チームの誰かに対して何かを言う時、素朴だけど優しい言葉選びで語ってくれる。掲げた目標は有言実行する。チームの誰かを支える時には何も言わないけど、確かなサポートをしてあげる。そういったことを彼は意識して行なっていた。面倒見が良くて、いろいろなことを考えていて、自分が作るものを見てくれ、話はそれからだ、という態度がすごく好きだった。たぶん、確固たる決め手はないけれどコンテンツを追っていくうちにいつの間にか彼が推しになっていたのはそういうことなんだと思う。作品づくりからメンバーとの関わり方から、どこまでも真摯で優しくて真面目な努力家で強い意志を持った彼の人柄に、気がついたら惚れ込んでいた。

私は、天才ではない子が好きだった。こう書くとひどく語弊があるのだけど、この子は天才ではないんだろうな、というのが見える子が好きだった。絶対に努力を積み重ねに積み重ねているのにそれを見せない、努力していることをこちらに意識させない男、それがチャンビンだった。自分が積み上げてきたものに対して確固たる自信をもって、私たちに提供してくれる。こんなにかっこいいことがあるだろうか。

ここまで書いておいてなんなんだけど私はどうしてチャンビンが好きなのかまだきちんと内訳を掴めないでいる。たぶんもうちょっと細分化できるものがある。かっこいいとは思っているけどなんでかっこいいと思っているのかはわからない。ステージの上に立つ姿が燃え尽きそうなくらい輝いているからかもしれないし、普段のおちゃらけて笑っている姿が可愛くて好きなのかもしれないし、チャンビンが届けてくれる言葉全部を丸ごと好きでいるのかもしれない。でも確かに言えるのは、私はチャンビンが表現するものすべて、言葉から歌声からラップまですべてのものでなんだか泣けてしまうのだ。

この曲はもともとデビュー前のサバイバルにおいて3人ずつに分かれたユニット用に作られた曲だったけど、音源として公開されているのは9人版として編曲されたのでそちらにはチャンビンくんの歌声は入っていない。ちなみにGLOWはメロディーと歌詞はほとんどチャンビンくんが手がけたものだったはず。

 これを初めて見た時本当に号泣した。原曲を聴いた時は泣かなかったのに。

なんと彼は覆面歌王にも出ている。ラッパーなのに。ちなみにスキズからはもう一人ハンも覆面歌王に出演している。それほどスキズのラッパーの歌がうまいことを嬉しく思う反面なぜボーカルを出さない、と心の中でツッコミを入れたのはここだけの話。

チャンビンの歌声はどこか心の奥の優しいところをそっとつつくようなところがある気がする。少なくとも私にとってはそうだ。チャンビンの歌声を聞くと本当に誇張なしに泣いてしまうので本当に聴ける場所が限られているのだが、どれもこれも本当に好きなので聞くたびにソチャンビン……好きだ……と馬鹿でかいため息をついている。

 

ボーカルも担うハンとは違ってチャンビンの歌声が入ってる曲は割と稀だ。そんな彼の自作ソロ曲を紹介して終わりたいと思う。

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"Street Light" 은 붐뱁 힙합 트랙 위에 남들에게 말하지 못하고 혼자 아파하고 슬퍼하면서, 아닌척 웃는 사람에 대한 내용을 가로등에 비유하여 가사로 풀어낸 곡입니다. 누군가에게 고민 상담을 하면, 상대방이 다 해결해 줄 순 없지만 털어놓는 것만으로도 한결 마음이 편해지곤 합니다.
사실 저도 이 곡을 쓰기 전에 정말 누구에게도 말 못 하고 혼자 힘들어할 때가 있었는데,가사를 써 내려가고 녹음을 하면서 누군가에게 털어놓은 것 같은 후련함을 느꼈습니다. 이 노래를 듣는 분들도 꼭 같이 아파해줄, 내 얘기를 들어 줄 누군가를 찾으셨으면 좋겠습니다.(Youtube動画コメントより)
[日本語訳 @Straykids_JPN様]
"Streetlight"はブームバップヒップホップトラックに他人に話せず一人で痛み、悲しみながらそうじゃない振りをして笑っている人についての内容を"街灯"に喩えて歌詞で解釈した曲です。誰かにに相談したら、相手が全てを解決してあげることはできませんが打ち明けるだけでも心が楽になります。実は僕もこの曲を書く前に、本当に誰にも話せなくて一人で大変な時があったのですが、歌詞を書いて録音していたら、誰かに打ち明けたようなすっきりした気持ちになりました。この曲を聴く方々も、必ず一緒に悲しんでくれる、自分の話を聞いてくれる誰かを見つけられたらと思います。

 

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チャンビンは、自分の話をしない。メンバーにうるさいと言われるほどたくさん話す子だけど、自分が思っていることをメンバーに打ち明けることは滅多にしない。よくないことだよね、とメンバーから陰口(?)を言われるまでだ。チャンビンが誰かの悩みを聞く時は自分の話をしないようにしている、と自分で言っている。Stray Kidsのメンバーにとって、みんなが自分を頼れるようないい人間でありたい、と。メンバーが彼は正直だ、嘘をつかないという反面、チャンビンは自分のことを感情に対しては正直じゃないと言う。自分が傷つきやすい人間だから、誰かが傷ついてしまうことが世界一嫌いだと。誰かが傷ついてしまうことが本当に嫌だけど、自分が感情に対して正直になってしまったら誰かを傷つけてしまいそうだと。メンバーだって、チャンビンは正直だけど人が傷つくようなことは絶対に言わない、必要のないことは言わない、と言っていた。

Streetlightが出たのは、これが語られた数ヶ月後のことだった。

 

[歌詞日本語訳 @Straykids_JPN様]
街灯の光のように  街灯の光のように
寂しい一日の終わりに  ぼんやりと立ったまま 
孤独な夜の真ん中で  精一杯明るく笑ってみせる
見せたくない 弱くて脆い僕の姿  
僕をたよりにしていた彼らにはこの姿は矛盾
強いフリ 痛くないフリ 何でもないフリ  
ただ誰かの力になりたいのに 
僕のせいで彼らの力を奪ってはいけない 
「頼ってもいい」という言葉に
疑問符をつける勇気がなくて僕は  
痛みは出口のない部屋の中で
 閉じ込められたまま静かに大きくなっていく  
我慢すればするほど鈍くなっていくよ 
まだ耐えられるかな 耐えられるから
傷の上の絆創膏は結局落ちるはず 
急いで付けたけどまた剥がれてしまった
取り残された屋根の上に溜まっていく雨水は 
僕の隙間をどんなによく知っているのか 
繰り返し漏れていく 
誰かが必要だと 全て崩れる前に 
もう一度聞いてくれ 大丈夫かって 
誰でもいいから

 

完全な矛盾だ、と思った。それから、完全な本音だ、とも思った。

教えてくれてありがとうとも簡単には言えないような、チャンビンの心の底を突きつけられた気持ちになって何も言えなかった。実はこれが出た頃にはウジンくんの脱退と8人での活動をきっかけにStray Kidsから離れていたのだけれど、こんな本当に根っこの気持ちを、心の底から揺さぶりに来るようなダイナミックなピアノに載せて歌うチャンビンのことを嫌いになることができなかった。そもそもStray kidsのことを嫌いになることなんてできなかったけれど。こんな生々しいSOSを誰にも言わずに、ただ歌詞を書いて録音することで消化してしまうチャンビンという人間が、どうしようもなく好きだ。この好きを紐解くことはたぶん私にはできない。あえて別の名前をつけるなら多分、憧れとか尊敬とかそういう類のものになる気がする。

これがアップロードされてすぐのインスタの投稿で、チャンビンは「豚ウサギ*1はSTAYがいるから笑うことができます。僕もSTAYにとってそんな人でありたいです。We are not alone」と言っていた。彼はステージで輝く最強のパフォーマーであるだけじゃない。どこまでも優しくてどこまでも真摯な人だ。

そんなStray Kidsのチャンビンというラッパーが、私の推しです。

*1:チャンビンの自称。誰かからの悪口をなぜか彼は気に入って自称にしている